住宅用太陽光発電に蓄電池は設置すべきか?~FIT価格低下により自家消費にメリットも~

〇 この記事でわかること

  • 太陽光発電のFIT価格の現状と今後の見通し
  • 太陽光発電導入コストの現状と今後の見通し
  • 蓄電池を導入するメリット(経済性、その他)

太陽光発電のFIT価格について

太陽光発電にかかるFIT売電単価の現状

東京都では、新築時に太陽光発電導入を義務付けるという話題が出たり、メガソーラー事業による山間部開発で土砂災害が懸念されるなど、最近注目の太陽光発電ですが、今回は住宅用太陽光発電導入について、蓄電池を設置した方が良いかについて考えてみたいと思います。

まず、現状の住宅用太陽光発電におけるFIT(固定価格買取制度)売電単価を確認します。

以下は、資源エネルギー庁HPに掲載されている2022年度以降の太陽光発電におけるFIT買取価格です。

2022年度以降のFIT売電価格(資源エネルギー庁HPより)

上記を見ると、主に住宅用の10kWh未満の電力買取価格が、「17円/kWh」となっています。昨年度よりも2円/kWh買取価格が下がっていることがわかります。ちなみに、10kWh未満は10年間の固定価格となっています。

実は我が家も太陽光発電を付けていますが、売電単価が42円/kWhと現状より2倍以上高くなっています。確か今年度で終了だったはずなので、悲しいですね。

FIT売電単価の今後の見通し

さて、FIT買取価格の今後の見通しですが、上記の表にあるとおり、2023年度は16円/kWhとさらに1円引き下げられてしまいます。

ただ、このFIT売電単価が今後どこまで下がるのかはまだはっきりとは決まっていないようです。

しかし、FITの固定価格買取期間の10年間を経過した「卒FIT」の買取価格は、概ね8~10円/kWhであることを考えると、最悪このレベルに近い価格までは下落する可能性は考えられます。

太陽光発電導入にかかるコストについて

太陽光発電導入コスト

次に、太陽光発電導入にかかるコストを確認したいと思います。

以下の資源エネルギー庁の調達価格等算定委員会の審議資料によると、2021年の住宅用太陽光発電システムの導入コストは、平均で28万円/kWとなっています。

※参考URL https://www.meti.go.jp/shingikai/santeii/pdf/073_01_00.pdf

住宅用太陽光発電システムの価格推移

つまり、例えば住宅用としては最大に近い容量の9kWの太陽光発電システムを導入する場合は、252万円の導入コストがかかるということになります。

FIT売電時の投資回収期間

では、FIT売電をした時に、単純に投資回収するにはどの程度の期間が必要なのでしょうか?

太陽光発電協会HPによると、太陽光発電1kWあたりの年間発電量は、約1,000kWhとのこと。

上記の例の9kW の場合は、9,000kWh/年の発電量となります。

考えにくいですが、発電した電力を全量FIT売電したとすると、2022年度単価の17円/kWhとして、

153,000円/年の売電収入となります。

考えにくいですがと言ったのは、実際には日中太陽光パネルにより発電している最中に自宅で使用している電力は、太陽光発電により得られた電力が充てられているため、その差引分が電力会社に売電していることになるからです。

とは言え、現状のFIT売電価格の17円/kWhというのは、電力会社から購入している電力単価よりも安いため、発電した電力は自家消費に充当される方が今現在は大分お得になります。我が家の過去1年間の平均電力単価は約27円/kWhなので、10円/kWhも自家消費の方がお得ということになります。

話がちょっと脱線しましたが、年間153,000円の売電収入があるとすれば、単純計算で固定買取期間である10年間では、153万円の売電収入が得られることになります(利率は考慮しない)。

そうすると、10年間で投資回収できたのは、252万円の導入費用の内、153万円なので、99万円が10年間では回収できない費用となります。

卒FIT売電単価について

ただ、太陽光パネルの耐用年数は、通常20年~25年と言われているため、10年経過後は、卒FIT買取単価で電力を売電するとすれば、仮に10円/kWhで売電した場合、90,000円/年の売電収入が得られるため、単純計算で11年間で投資回収が完了することになります。

先ほどもお話ししたとおり、実際には日中の発電した電力の一部は自家消費に回ることになるため、実質の投資回収はもっと短くなるはずです。

とは言っても、太陽光発電を導入してもトータルで20年近くも投資回収にかかるとすれば、あまりメリットは感じられない気がしませんか?

私が太陽光パネルを設置したときは、導入コストもかなり今よりも高かったですが、何せ42円/kWhというかなり高い売電価格で電力が売れるため、固定買取期間の10年間で基本的には投資回収は完了します。

蓄電池を導入するメリット(経済性とその他)

蓄電池導入コストについて(テスラPowerwall(パワーウォール)の例)

最後に、蓄電池を導入する場合について考えてみましょう!

太陽光発電については、日中の太陽が出ている時間帯しか発電しないため、太陽光発電した電力を無駄なく自家消費するためには、蓄電池の導入が必須となります。

蓄電池の導入コストについて、以下のエコ発電本舗様のサイト(https://www.taiyoko-kakaku.jp/product/tesla)によると、現在販売されている蓄電池で容量が大きく、kWあたりの単価が安い「テスラのパワーウォール(13.5kW)」で約12万円/kWとのこと。

つまり、導入コストは162万円ということになります。

ちなみに、我が家はオール電化住宅の一軒家ですが、13.5kWの容量があれば、夏場の日没から日の出までの電力は賄えそうです。

ちなみに、テスラの蓄電池については、業務用の大型蓄電池の「Megapack(メガパック)」という製品を、Amazonがカリフォルニア州に大規模導入を決定したことが話題となりました。EVをけん引するテスラですので、蓄電池業界に参入するのも頷ける気がします。

蓄電池+自家消費の経済性について

蓄電池+自家消費の経済性については、シミュレーションは複雑であるため、ざっとの概算をお示しすると我が家の場合で、年間約15万円程度の経済価値が出そうな試算です。

つまり、162万円で「テスラのパワーウォール」を導入したとすれば、11年未満で投資回収できることになります。

蓄電池導入のメリットについて

上記の蓄電池の投資回収期間をどう捉えるかはそれぞれ異なると思います。

ただ、蓄電池導入のメリットには以下のようなものがあります。

  • 停電時の防災対策になる(常時充電率を高めに設定すると防災効果が高い)
  • 今後の燃料価格高騰懸念に対するリスクヘッジになる
  • 脱炭素社会への貢献につながる(SDGsや環境教育にも!)

1つ目については、蓄電池導入における最大のメリットであるため、せっかく導入するのであれば電気代削減だけを目的にするのではなく、防災対策強化したいところです。我が家もFITが終わるのでどうしようか悩んでいます。

2つ目は、ここ1年の燃料価格高騰により電力価格も高騰しています。今後、燃料価格の高止まりやさらなる高騰が起こった時にも、太陽光発電+蓄電池を導入していれば、導入時のコスト負担で済むため、リスクヘッジの効果が期待できます。

3つ目は、2つ目とも少し関係がありますが、現在の脱炭素社会推進の動きは、どんどん加速していくものと思われます。そのため、脱炭素に貢献する行動はより優遇され、脱炭素にマイナスの効果を与える行動にはさらなるコスト負担や制約が求められるものと予測されます。

例えば、2つ目の電気代にしても再エネ賦課金が今後さらに上昇することも懸念されます。

脱炭素社会推進は、もはや止められない動きとなっていますので、まずは自分の住宅からエネルギーの自給自足をすることで脱炭素社会やSDGsに貢献するのもありかなと思っています。子どもへの教育にも良い取り組みだと考えています。

さて、今回は太陽光発電と蓄電池についてでしたが、いかがだったでしょうか?脱炭素に関係しているテーマでもあり、なかなか自分自身考えさせられるテーマでした。

↓太陽光発電と蓄電池をお住いの地域別で見積比較できるサービスです!是非ご活用ください!

error: Content is protected !!