〇 この記事でわかること
- 副業で確定申告が必要となる場合
- 雑所得と損益通算について
- 雑所得同士の損益合算の活用方法
目次
副業で確定申告が必要となる場合について
私は現在、副業に取り組んでいますが、副業も一定の収入を超えると「確定申告」の対象となります。私自身、過去に個人事業主として、3年ほど自分で確定申告をしていた経験があります。
一応、FP2級と全経簿記上級の資格を持っているので、自分で複式簿記の帳簿を作って、青色申告していたわけですが、それでも結構面倒で手間がかかります。例え、複式簿記によらない白色申告であっても、会計の知識が少ない方にとっては、自分一人で確定申告するというのは、なかなかのハードルだと思います。
今回は、そんな確定申告について、副業をしている方の多くが該当するであろう雑所得について、特に副業初心者や本格的な収益化はこれからという方に役立つ情報をお伝えしたいと思います!
もう、十分な収益化が出来ていて確定申告もしているという方には、あまり活用できる情報では無いかもしれませんので、ご了承ください。
確定申告とは?
まず、確定申告についてのおさらいですが、簡単に説明すると、「その年の所得を確定させ、税務署に申告すること」を言います。
所得というのは、収入から経費を引いたものなので、商品を販売している場合は、「売上 ー 経費」で計算されるものです。この経費には、仕入れ費用や人件費、光熱費など事業にかかった経費は基本的に全て含めることができます。
サラリーマンの方は、会社で年末調整の手続きがあると思いますが、保険や年金控除額を記載した年末調整の書類を会社に提出すれば会社が代わりに税務署に申告してくれているので、基本的にはご自身で確定申告を行う必要はありません。
確定申告の時期は、1月1日から12月31日までの所得額について、「翌年の2月16日から3月15日まで」税務署に申告すると決められています。
税務署と言うと怖いイメージを持っている人もいると思いますが、個人の確定申告については、書類を持って相談に行くと丁寧に教えてくれるので安心してください。自分で調べて簡単に出来るという人はそんなに多くないので、税務署でもその前提で対応してくれますよ。
副業で確定申告が必要になる場合
では、副業で確定申告が必要になる場合ですが、給与収入以外に20万円以上の所得がある場合は、基本的には確定申告が必要と考えてください。
これは、雑所得だけではなく、株式投資や不動産投資による所得の場合も同じです。
ここで、注意が必要なのは、20万円以上というのは、あくまで「所得」ということです。前述しているとおり、所得は「収入ー経費」なので、売り上げやアフィリエイト収入が20万円を超えたから確定申告が必要という訳では無いので、ご注意ください。
雑所得と損益通算
損益通算とは?
次に損益通算についてご説明します。
損益通算という言葉は聞いたことがあるでしょうか?ほとんどの会社勤めの方にとっては、関係が無い場合がほとんどなので、耳にしたことが無い方も多いのではないでしょうか?
国税庁によると損益通算というのは、以下のように説明されています。
各種所得金額の計算上生じた損失のうち一定のもの(損益通算の対象となる所得の範囲(1)から(4)記載の所得)についてのみ、一定の順序にしたがって、総所得金額、退職所得金額または山林所得金額等を計算する際に他の各種所得の金額から控除することです。
国税庁HPより
(1)~(4)というのは、不動産所得、事業所得、譲渡所得、山林所得です。
これを読んで理解できる人は、この記事を読む必要はありません。
上記を簡単に言うと、以下のとおりです。
「(1)~(4)の事業で出た損失は、他の所得から差し引いて確定申告できます」
給与所得が入っていないじゃないか?と思われるかもしれませんが、給与はマイナスにはならないので、差し引かれる方の所得になります。
株の配当や利子についても同様に、基本的にはマイナスになる前提が無いので入っていません。(マイナス金利になったらどうするのでしょうかね?)
副業の場合で考えると、給与所得が500万円あった場合に、株売買で損して100万円の赤字が出た場合は、損益通算の対象となり、
500万円(給与所得)-100万円(譲渡所得)=400万円(損益通算との所得)
となるので、確定申告することにより100万円の損失分を考慮した税額が戻ってくることになります。
上記は事業所得の場合も同様に損失が出た場合は、給与所得から損益通算によって損失分を差し引くことが出来ます。
何となく損益通算のイメージができたでしょうか?
雑所得は損益通算出来ない
さて、長くなってしまいましたが、いよいよ「雑所得」についてです。
雑所得については、国税庁HPでは以下のように説明されています。
雑所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得および一時所得のいずれにも当たらない所得をいい、例えば、公的年金等、非営業用貸金の利子、副業に係る所得(原稿料やシェアリングエコノミーに係る所得など)が該当します。
国税庁HPより
はっきりと、「副業による所得」と書かれていますね。
また、先ほどの(1)~(4)の所得の中には、雑所得は入っていませんでしたよね?
そうです。雑所得は損益通算できないんです!
トップクラスの副業上級者を除き、ほとんどの副業者の所得は事業所得ではなく、雑所得になります。
損益通算が出来る事業所得と認められるためには、「開業届」が必要ですが、副業者で開業届出を提出している人は少数だからです。
また、アフィリエイトやアマゾンで転売などして得た所得は、事業所得に該当しなければ、その他の所得に該当する区分は無いため、雑所得に該当することになります。
そうすると、アフィリエイトやせどり(転売)などで損失が出た場合にも給与所得から損失分を差し引くことはできません。つまり、雑所得で出た損失は、ただの損失ということになります。
雑所得同士の損益は合算できる
それでは、ようやく今回の本題に入ります。
今回言いたかったのは、以下の内容です。
「雑所得は損益通算は出来ないが、雑所得同士の利益と損失は合算できる」
実は、私自身あまり意識したことが無く、最近調べてわかったことなのですが、雑所得は他の所得とは損益通算できませんが、雑所得同士では損益通算が可能です。
理由としては、雑所得というのは、他のいずれの所得にも当たらない所得のことですが、計算する際には、「収入の合計 ー 支出の合計」で計算されます。
つまり、収入についても支出についても、何の副業で出たかは関係ないんです。
雑所得に関わる全ての収入から全ての支出を差し引いて雑所得を計算すれば良いということです。
これって、何気にすごくないですか?
例えば、アフィリエイトで100万円の利益が出ても、せどりで90万円の損失が出ていたら、雑所得は10万円となるので、確定申告は不要ということになります。
何がすごいか?は以下から説明していきます。
雑所得の合算の活用方法
事業成長のために利益を活用する
さて、それでは「雑所得同士の損益合算の活用方法」ですが、あらかじめ断っておくと、裏技的に税金がかからないようにする方法を教えるという訳ではありませんので、ご了承くださいね!
副業している方の中にも、「副業で稼げるようになって、会社を辞めて自由に暮らしたい」や「FIREやサイドFIRE」したいという方も多いのではないでしょうか?私もその一人です。また、なるべく会社にはぎりぎりまでバレたくないという方も多いですよね?
そういった場合に、「大きな利益が発生するのを後に回して、一気に稼げるようにする」のが理想ではないでしょうか?生活の足しにするのであれば別ですが、目的が稼げるようになって、早期退職を目指すのであれば、100万円や200万円の利益では全然足りませんよね?
ここで、ちょっと話がずれますが、アフィリエイトやせどりでも何の副業でも良いですが、利益を増やすためのツールや教材、優良なコンサル塾など役立つものはありますよね?もちろん全く役に立たないものも数多くありますが。
例えば、アフィリエイトで100万円利益が出た場合に、雑所得として確定申告するのは手間がかかりますし、場合によっては会社にバレる可能性もありますよね?だからと言って、雑所得が20万円を超えたのであれば、確定申告しないと脱税になってしまいます。
ではどうしたら良いかと言ったら?アフィリエイトの場合であれば、サイトをプロに改良してもらったり、記事を外注したり、新しいサイトをプロに作ってもらったりなど、今後利益を2倍3倍と上げていくための施策はたくさんあります。
この考えは、利益を再投資に回す「複利的な運用」に近い考え方だと思います。ビジネスを大きくするためには、「複利運用」は欠かせないものとなります。
複利というのは、例えば、10万円の資金に対して月に10%の利益1万円が出るとします。この利益を資金に加えると翌月は11万円の資金に対して10%なので、1.1万円の利益が出ます。これを繰り返していくと、10万円の元本に対して月利10%の複利運用ということになるので、1年間で約3倍の30万円になり、20万円の利益が出ることになります。
月利10%で元本固定の場合は、年間12万円の利益しか出ないため、かなり大きな差となります。俗にいう「雪だるま式」に利益を増やしたい場合は、「複利的な運用」が必須となります。
経済的な自由を獲得したい場合は、出た利益は是非再投資して、加速度的に利益を増やしていきましょう!
せどりの場合の注意点
ちなみに、せどり(転売)の場合ですが、上記の考えから「利益が出たら、その分仕入して費用として計上」してしまえば良いと思われるかもしれませんが、それは出来ないので注意が必要です!
なぜなら、簿記の仕訳で考えると、商品を仕入れた場合、「商品」は資産計上され、費用には計上されません。仕入れた商品が費用に計上されるタイミングは、商品が売れたタイミングです。そのため、雑所得の算定上も「売上に対応する仕入れ費用」しか経費として計上することは出来ないのです。
なので、せどりをされている場合は、信頼できる教材やコンサル、有用なツールに再投資するか、他の副業に投資するのをおすすめします。
海外FXやバイナリーオプションの場合
海外FXやバイナリーオプションの活用方法
後に、海外FXやバイナリーオプションについて、説明します。
「何で、海外FXやバイナリーオプションの話が出てきたの?」
と思われるかもしれませんが、海外FXや海外バイナリーオプションで得た利益については、他の雑所得と同様の「雑所得(総合課税)」となるからです。
「いやいや、国内FXや国内バイナリーオプションの利益だって、雑所得でしょ?」と思われる方、正解です。ただ、国内FXや国内バイナリーオプションの場合は、雑所得でも「申告分離課税」という制度となっており、他の雑所得とは別に申告することとなります。(これについては、申告により損失繰越も認められています)
さて、勘のいい方はおわかりかと思いますが、海外バイナリーオプションで出た損失は他の雑所得と合算できるということです。
つまり、バイナリーオプションで利益が出れば、他の副業への再投資に利用し、損失が出れば他の副業の利益で相殺するような活用の仕方が出来ます。
バイナリーオプションの注意点
私自身、過去に海外バイナリーオプションで大きな損失を出したことがあるのですが、バイナリーオプション自体は、ある一定の金額まで元金が増えた場合、無理をしない限り安定的に資金を増やすことが可能です。
どちらかというと、資金に余裕が無く、精神的に追い詰められた場合に、大失敗するケースが多いと思います。なので、資金に余裕がある場合は、よっぽどギャンブル的な手法を使わない限りは資金を増やしていける可能性があります。
ただ、バイナリーオプションは一般的にはリスクの高い投資手法と言われているため、ギャンブルにはまりやすい人はやらない方が賢明です。精神的なタフさや安定さに自信のある方は、個人的には適性がある気がします。投資に関しては、手法は数多く存在しており、有用なものも多いです。そのため、手法よりも損切出来るメンタルの方が重要だと私は思っています。
バイナリーオプションも最近少しですが、再開したので今度記事にしますね。