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副業と確定申告について
確定申告が必要なケース
今回のテーマは、副業と確定申告についてです。ちなみに、お前は税やお金の知識はあるのか?と思われる方もいるかもしれませんので、少し自己紹介をします。
私は現在はサラリーマンをしていますが、5年ほど前までは個人事業主を数年間していました。そのため確定申告(青色申告)も自分でしており多少の経験はあります。ちなみに、全経簿記の上級という税理士試験を受けられる簿記の資格とファイナンシャルプランニング技能士2級という資格も持っていますので、お金や経理に関する知識は一応有していると思っています。
さて、サラリーマンの人は、副業などしておらず会社の給料が主な収入源の場合、会社が源泉徴収で税金を差し引き、年末調整で住宅借入金や保険、年金などについて控除額を調整した上で税申告をしてくれているので、自分自身が税務署に行って確定申告する必要はありません。
副業していないサラリーマンの方で確定申告が必要な人は、給与収入が2000万円以上の方になります。大企業の役員クラスかトップセールスマンでもない限りは通常は越えない金額ですよね。なので、これについては詳細は割愛します。
上記以外(給与2000万円以上)のサラリーマンで確定申告が必要な場合は以下の通りです。
- 給与所得以外の所得が20万円を超える場合
- 副業で開業届を提出し、青色申告を行う場合
- 医療費控除を受ける場合
細かくはもっとあるかもしれませんが、サラリーマンの場合は主にこんな所だと思います。
副業の所得合計が20万円以下の場合
上の1つ目によると、「給与所得以外の所得が20万円以下の場合」は確定申告が不要となります。これは、給与所得を除く9種類の所得の合計で判断することになりますが、今回は「副業」の場合について考えたいと思います。
では、副業でせどり(転売)やアフィリエイトなどを行って収入を得た場合についてですが、「所得」が20万円を超えた場合に確定申告が必要なので、例えば、せどりの場合は、「売上-仕入-システム手数料-その他経費」、アフィリエイトの場合、「報酬-サーバー利用料-その他経費」の金額が20万円以下の場合は、確定申告が不要となります。
所得計算におけるその他経費について
ちなみに、先ほどのその他経費とざっくりまとめてしまいましたが、ここをいかにしっかり算出して経費に計上するかで確定申告の要否に大きく関わってきます。
例えば、アフィリエイターであれば、パソコンが相棒のようなアイテムとなりますが、10万円未満の場合は、経費として一括計上することとなるため、例えば報酬-サーバー利用料などが29万円だったとしても、アフィリエイト用のパソコンを新たに9万円で購入したとすれば経費として一括計上することが出来るため、所得は20万円となり確定申告が不要となります。
パソコンの金額が20万円だったとした場合は、10万円以上となるため、減価償却資産として耐用年数に渡って減価償却する必要があります。パソコンの場合は4年間なので20万円のパソコンを購入した場合は、年間5万円を費用計上することが可能です。
ただし、青色申告をする個人事業主の場合は、30万円未満の資産は一括償却が認められているため、上記の20万円のパソコンであっても一括して経費として処理することが可能です。
副業や個人事業の場合で注意が必要なのは、事業専用の経費じゃない場合、要は家庭用も兼用している場合は、合理的な使用割合に基づいた費用計上が必要です。一方で、言い方を変えると、事業に使用している分であれば、自宅の部屋代や光熱費なども経費に出来るということです。(きちんとした根拠は準備する必要がありますが。)
青色申告とそのメリットは?
青色申告とは?
ここで青色申告について説明しておきたいと思います。個人事業主の確定申告には、白色申告と青色申告があります。青色申告をするには、開業届が必要なので副業であっても個人事業主として事業を行う場合が対象となります。
白色申告との違いとしては、青色申告は基本的に複式簿記による記帳を行い、貸借対照表と損益計算書を作成する必要があるため、簿記の知識が無い場合は完全な自力ではちょっと難しいかもしれません。ただ、その分受けられる恩恵は大きなものがあります。
ただ、今は便利な会計ソフトもたくさんありますので、簿記の基本的な知識さえ覚えてしまえば、そこまでハードルは高くないかもしれません。
青色申告のメリットとは?
青色申告のメリットには、以下のようなものがあります。
- 最大65万円の特別控除が受けられる。
- 損益通算が可能
- 赤字の3年間繰り越し
- 事業専従者給料の控除が可能
1つ目の「最大65万円の特別控除が受けられる」ですが、これは結構大きなメリットです。e-TAX申請や電子帳簿保存などの一定の条件を満たせば、事業所得から最大65万円の控除が受けられるため、例えば売上から経費を引いた副業の所得額が65万円の場合、65万円控除された額に課税されるので、事業所得にかかる税額は0円となります。
サラリーマンの場合は、月5万円程度の利益の副業であれば、青色申告をすれば給与所得以外には追加で課税されないことになるので、住民税の税額で会社にバレる心配も無いので良いですよね。
2つ目の「損益通算が可能」については、例えば副業の個人事業で50万円の赤字が出てしまった場合に、事業所得であれば確定申告による税額計算は総合課税となるため、会社からの給料が600万円の場合、50万円の赤字分を差し引いて、550万円に実際は課税されることになるので、多く支払った分の所得税(給料から源泉徴収された税金)は還付されることになります。
どうやら、この制度を悪用して所得税の還付を受けているようなケースがあるようで、青色申告について制度が変更されるようです(後述します)。
3つ目の「赤字の3年間繰り越し」については、個人事業で給与所得を上回るような大赤字を出した場合に、2つ目の損益通算により相殺し切れないことがあり得ます。その場合に、相殺し切れない赤字分は最大3年間繰り越すことが出来ます。ただ、普通に副業しているレベルではここまでの大赤字を出すことは稀だと思います。
4つ目の「事業専従者給料の控除が可能」については、例えば生計を共にしている配偶者や同居親族に個人事業を専業として手伝ったもらっている場合、この専従者分の給料については、経費として控除が可能となります。白色申告の場合も一定額控除可能ですが、配偶者で86万円、その他で50万円とアルバイトレベルの控除額となっています。青色申告の場合は、上限額は無いため妥当性のある給料であれば全額控除可能となります。やや規模の大きな副業をしている場合は非常に恩恵のある制度だと思います。
さて、白色申告に比べて、大きなメリットがある青色申告ですが、どうやら適用条件の見直しがされる見通しとなっているようです。簡単に言うと、「収入金額が300万円を超えない場合は、事業所得ではなく、雑所得として扱う」ことになる予定のようです。
弱小アフィリエイターの私にはまだまだ関係の無い話ですが、「所得」ではなく「収入」であるため、せどりをしている方の場合は、売り上げが年間300万円を超える場合はあり得ますので注意が必要です。
例えば、年間290万円の売り上げ、100万円の利益の場合は、事業所得ではなく、雑所得の扱いとなってしまうため、青色申告は出来なくなってしまいます(雑所得は青色申告できないため)。そうすると、青色申告の時は、100万円の利益から65万円が控除された金額の35万円が給与所得に加算されて課税されていたのが、そのまま100万円の利益が給与所得に加算されてしまうため税額が大きくなってしまいます。
これは、真面目に事業を行っている方にとっては大きな打撃になると思います。特に事業を初めてこれから成長させて行こうとしている段階では税負担が大きくなると思われます。稼ぎが大きくなった人の方が税制的に優遇されるというのは、ちょっと納得がいきませんよね?
↓以下、「「所得税基本通達の制定について」の一部改正について(法令解釈通達)」についての政府パブコメページです。
https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=410040064&Mode=0
会社にばれたくないなら普通徴収を選択
最後に、確定申告をする場合に、副業が会社にバレないようにするための方法について説明します。
副業が会社にバレるケースとして、住民税額が給料と合わないことが挙げられます。副業から得られる収入が少ない場合は気付かれないかもしれませんが、大きな収入になれば会社の給与担当者が気づく可能性は十分考えられます。
給与以外の副業等の所得合計が20万円を超えて確定申告をした場合、その情報は市町村にも共有され、その情報に基づき市町村が住民税を徴収することになります。
この住民税の支払い方法として、「普通徴収」と「特別徴収」の2種類があります。
サラリーマンの場合、義務的に会社が給料から所得税を源泉徴収を行っていますが、住民税についても会社が代わりに支払いをしています。これが「特別徴収」となります。会社が代わりに住民税を納めてくれているので、通常はサラリーマンの方は、自分自身で住民税を支払うことはありませんよね。
ただ、副業が会社にバレないようにするために、副業により得られた収入分について、会社が代わりに支払う特別徴収ではなく、自分自身で住民税を納める「普通徴収」を選択することが出来ます。
これは、確定申告時にチェックする欄があるため、給与所得以外の住民税の徴収方法として、普通徴収にチェックすることで選択できます。これにより、会社に副業がバレるリスクを一つ減らせることになりますね。
今回は、副業と確定申告をテーマに記事を書かせていただきましたが、いかがだったでしょうか?収入を得る以上は、税金についての制度をある程度把握しておいた方が、節税や優遇制度を活用することができると思います。今後も、気になることが出てきたら記事にしてみたいと思います。